私たち現代人の悩めるコンプレックスのひとつ。
わきが。
そもそも「わきが」とは何だろうか?

「わきが」とは何か?

「わきが(腋臭)」とは、特に「わき(脇、腋)」から発するにおいのこと。またその症状をさす。

一般的な認識では、その症状のことを指すことが多い。
なお、疾患としては「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ぶ。

特殊な汗が分泌され、その汗と皮脂とが、特定の細菌に分解されることで、臭いが発生すると考えられる。

なお、わきではなくとも「わきが」と同様の臭いを発することがある。
またそれを特に「すそわきが」という表現をされることがある。

わきがの臭いの種類

わきがの臭いには個人差があり、様々な臭いを発する。
具体的には以下のようなものである。

  • ゴボウの臭い
  • ネギの臭い
  • 鉛筆の臭い
  • 酢の臭い
  • 香辛料(クミン)の臭い
  • 納豆の臭い
  • 古びた洗濯ばさみの臭い

汗の成分には個人差があり、また環境によっても左右される。
その為、臭いの種類が複数存在するものと考えられる。

わきがのメカニズム

わきがは、特殊な汗腺から分泌される汗によって引き起こされる。

具体的には、わきなどで分泌された汗が皮脂などと混ざり合い、表皮に存在する細菌(常在細菌という)によって分解されることで、臭気をもった物質として生成される。

この仕組みはいわば「フェロモン」と同様であり、動物からヒトとして進化する過程で形成されたものだと考えられる。

わきがの原因はアポクリン汗腺

わきがの原因となるのは「アポクリン汗腺(apocrine gland)」と呼ばれる汗腺。
汗腺とは、周知のとおり体温を調節するなどの役割のため、皮膚に無数に存在する「汗を分泌する」ための組織である。

もともと、哺乳類の動物が一般的に持っている汗腺で、汗が分泌される際に皮脂やたんぱく質を含んだ状態で分泌される。

しかし人間(ヒト)においては、汗腺の大多数が「エクリン腺様式」と呼ばれる汗腺で占められている。
ヒトはエクリン腺から出る汗によって、体温調節などの役割を果たしている。
このエクリン腺とは、アポクリン腺とは違い「脂やたんぱく質」を含まないため、前述のような特有の強烈な臭いになることは少ない。

ヒトにおいては、腋や乳首、性器などの一部にアポクリン腺が密集して存在している。

わきがは遺伝する?

前述のとおり、わきがの発症は「アポクリン腺」の分泌量によって、その度合いが変わってくるものと考えられている。

分泌器官の性能(汗腺の量や分泌量)は遺伝子によって左右されるため、いわば先天的に「わきがになるかどうか」は決定してしまう。

遺伝の性質は「優性遺伝」であるため、高い確率で親から子の代へ引き継がれる。
なお、わきがとともに遺伝され発現するものとして「湿り気のある耳垢」が挙げらえるのは有名である。

優性遺伝であるため、人類全体から考えると、わきがの発症者は圧倒的多数であると考えられるが、日本人(および東アジア諸国)においてわきが発症者は10%ほど。

これは、我々アジア人の祖先がシベリアなどの寒冷地に居住していたことが関係すると考えられている。

わきがの役割

悪臭を持つものとして忌み嫌われる「わきが」。
では、わきがは何のために存在するのだろうか?

前述では、哺乳類に属する動物は、その全身に「アポクリン腺」を持つことに触れた。

自然界において「臭いを発する」という機能は、「他の個体に何かを知らせる」ということに他ならない。

わきがの由来はフェロモン?

わきがの成り立ちや、現代に存在する他の動物を観察すると、わきがの原型は「フェロモン」であると考えられる。

事実、ウマやウシなどの偶蹄目では、アポクリン腺様式の器官が「芳香腺」として機能している。

ヒトにおいてはアポクリン汗腺は、芳香腺としてははほとんど機能していない。

これは、人間が社会性に富んだ進化をした結果、言葉でのコミュニケーションが発達し、その他の伝達機能としてのフェロモンが衰退した結果だと考えられる。

わきがの見分け方

わきがのみならず、自分自身の臭いは自分自身では分かりづらいもの。
しかし看過していると、知らずのうちに周囲に迷惑をかけている可能性もある。

わきがを発症している人に起こりやすい現象は以下の通り。

見分け方1:親がわきがである

不快な臭いとして発生しているかではなく、体臭が強いかどうか、が判断基準になる。
体臭はアポクリン腺によって分泌された汗から、生成された匂いが要因となる。

つまり、両親のどちらかの体臭が強ければ、その子孫には「体臭の出やすいアポクリン腺」を受けついている可能性が高い。

見分け方2:湿気のある耳垢が出る

耳垢(みみあか、じこう)が湿っている(湿性耳垢、じり耳)場合、わきがである可能性が高い。

耳にもアポクリン腺は存在し、耳垢が湿るのは、このアポクリン腺の分泌量が多いから、だと考えられる。

見分け方3:洗濯物にわき染みがつく

わきの下などに、黄ばんだような染みがついている場合、わきがの可能性が高いと判断できる。

アポクリン腺から分泌される汗には、脂やたんぱく質を多く含んでいる。
これらの分泌物が多い場合、衣服に固着してシミとして残ってしまうケースが多い。

わきががもたらす問題

動物としては当然の機能である「わきが」。
しかし現代の日本での「わきが」のとらえられ方は、もっと妄信的に蔑まれる傾向にあると感じている。

わきがが避けられる理由

「わきが」が奇異の目をもってみられるのは、特に日本など黄色人種(モンゴロイド系)の社会においてである。

東アジア諸国では、わきがの発症率は全体の5~20%程度だと考えられている。
(人類全体では、わきが発症者のほうが圧倒的多数)。

さらには、アジア諸国での文化・文明の成り立ちから考えると、社会性が最重要視されてきたという歴史がある。

母集団から見た一部の「変な臭いの人物」は、否が応でも目立ち、のけ者にされてきたのだと考えられる。

わきがの不快感は受け手次第!?

「わきが」は不快な対象であると考えられがちであるが、その実は「相手による」と考えらえる。

「わきが」の臭いに対する感じ方(不快と思うかどうか)は実は人によって差があり、これはわきがの成り立ちが「フェロモン」であることと同様だと考えられる。

  • 自分の親類にあたる人のわきがは、不快に感じない。
  • 一般的なわきがは苦手だが、ある特定の人物のわきがを良い匂いだと感じる。

などの現象は、実生活の中でも経験したことがある人は少なくないと思う。

事実、筆者の家系もわきがであるが、兄弟のそれは「臭いの強さ」を感じても「不快」には感じない。
それどころか、わきがの持ち主でも「異性にもてる」人物を何人も見てきた。

まとめ

わきがはフェロモンが退化した名残であり、今ではすたれた「コミュニケーション手法のひとつ」だといえる。

「わきが」とは

  • わきがは優性遺伝。親がわきがなら、子もわきが。
  • フェロモンの名残で、人によっては良い匂いに感じる。
  • 成分や環境によって臭いが変わるため、様々な臭いがある。

参考リンク